MONOLOGUE

小さく、細く。深く、長く。

梅雨の候、いかがお過ごしでしょうか?

雨の合間をぬって散歩に出ると、美しい紫陽花があちこちに咲き乱れ、目を楽しませてくれるのですが、うっかりするとまた降り出してしまうことも。

この季節は空模様だけでなく、湿気や風の様子までも読まざるを得ず、肌感覚がいっそう鍛えられますね。

私は雨の季節はどうしても頭痛とおつきあいせねばならない体質になってしまっているようで、最近では身体の様子を見ながら、暮らしも仕事も少しだけスローダウンさせて動いています。

と、ここまで書いてみてふと思ったのですが、前はこういう動きは、なかなかできませんでしたね・・・

体の不調は「気のせい」にして、なかったことにしていたように思うんです。

気がついてしまうと、気になってしまって、面倒だから。

とくに会社員時代は、敢えて自分を鈍感にしていたような気がするなぁ。

止まるのが怖かったのかもしれないし、反対にそれらを忘れて夢中になれる仕事が目の前にあったからかもしれないし。その両方、だったのかな。

今の私は、随分変わりました。

身体の状況を見るようになったし、五感で感じるものを有り難く受け止められるようになった気がします。

結構ね、嘘をつかないんですよ。

「身体からのお知らせ」って。

それは体調だけではなくて、たとえば自分の発する言葉であるとか、立ち居振る舞いとかもそうなんですが、ちょっとでも違和感があると、心よりも前に身体が反応しているような気がしてね。

ざわっとして受け入れを拒否するとか、反対に毛穴まで開いてようこそと歓迎するとか、そういう体感値を重ねていったからこそ、身体を大事にできるようになっていった。

自分の器を信じられるようになった、と言ったらいいのかな。

敢えて鈍感ぶらずに素直に、身体の声を聞いてあげられる自分が、私は嫌いではありません。

そうさせていただける環境に、まずは感謝しかありませんね。

「つくる」から「とどける」まで

さて、このメルマガでもご報告もうしあげましたが、初エッセイが収録された書籍「なないろの記」が刷り上がりまして、先日初回ご注文をいただいた方に無事にお届けすることができました。

お手に取ってくださった方も、気にかけてくださった方も、本当にありがとうございました。

今回初めて自分で書いた言葉が
編集・デザインされ、
印刷・製本され、
自らご紹介して・ご注文を受け・配送する。

という一連の流れに取り組みました。

まさに「つくる」から「とどける」まで。
川上から川下までをやる!

不慣れなことも多く大変ではありましたが、これが私にとってはかつてない最高にエキサイティングな経験でした。

私が携わってきた広告・プロデュース業って「自分のところの商品を持つ」ということはほどんどないんですよね。

あくまでも事業主様がいて、届けたい商品やサービスをお持ちになっていて、それを伝えるために広告という表現を提供する。

そういう生業であることをわかって選んでいたわけですが、実務の中でジレンマがなかったわけではありません。

プロとして本気で関わらせていただくほどに、譲りたくないものって出てくるんですけれど、事業主体ではないという点において、最後の最後のところで本当にいいと思うものを追求しきれない時もあります。

また、求めている方の手に実際に届くところまで見られないことに、どこか淋しさを感じることもありました。

「自分の商品を持つ」からこそ分かったこと

今回の本づくりで、つくるところから届けるところまで、自分の手でやってみたからこそ見えてきたことがあります。

当たり前のことですが、作るのも受け取るのも、どこまでいっても「人」なんですよね。

その「人」たちとどれだけ想いをともにできるか、そこに一体感が生まれるか、ということを私は大事にしていたいのだと思います。

<作り手>としては、自分以外も含めて関わってくださる方々が、本当にいいものをつくり届けたいと突き動かされていくあの感覚ですし、

そのバトンを受けた<届け手>としては、心ある人にブレなく手渡したいと願う責任みたいなものかもしれない。

それらが結集されて、ひとつのかたちあるものになったとき、目に見えないそれらの想いまでもが内包されて<お求めくださった方>に届く気がするんです。

受け取った時に、わぁぁ、としずかに高揚するあの感覚は、きっとどなたにも経験があると思います。

人の想いが一気通貫したときには波みたいなものが起こる気がしていて、私はそういうものづくりがしたいのだと改めて思いました。

本においても、場においても、
関わらせていただく案件全てにおいて。

ここまでくるとオタクの領域といえなくもありませんが
私はこれからも
小さく、細く、けれども限りなく深く、長く、
やり続けていくことでしょう。

それが、いい。
その先にあるものを信じ、見に行ってみたいんです。

書籍「なないろの記」をお求めくださった方々に重ねて御礼申し上げます。
ありがとうございました。

どうかごゆっくり、ご自身のペースでお楽しみくださいね。

気になっていたという方は、以下にご注文のリンクを貼っておきますので、是非お目通しいただけたらうれしいです。

エッセイのテーマなどもしたためております。


それでは。変わりやすい天候が続いておりますので、どうかお身体ご自愛くださいね。

また、書きます!