言育サロン
2023年7月21日
記憶の旅 〜言育サロン7月開催レポート〜
(記事:Vision Bridge事務局 白河晃子)
大変な暑さが続いています。
今朝はようやく少し涼しくなりましたが、これから夏本番と思うと恐ろしくなります。心身を整えて8月を迎えたいものです。
昨日7月の言育サロンが開催されました。
今月のテーマは「記憶の旅」
大磯さんが選書した「雨犬」という一冊の本を入り口に、サロンの時間が始まりました。
作者は外間隆史さん。そして挿絵の版画作品には柳本史さんです。
ペンキ職人の青年と一匹の老犬「雨犬」の暮らしを綴った物語で、雨犬は街中のちょっとしたところに落ちている「記憶」を集めて生きているのだそうです。
正確に言えば、落ちているのではなく、在る、のだそう。面白い発想ですね。
けれど、私たちも、目には見えないけれど、街中に不思議な気配を感じることがありませんか。私はよくあります。
もしかすると、それは10年前、100年前、いやもっと古い誰かの名残であり、誰かの「記憶」なのかもしれません。
もちろん、自分の中からふっと蘇ることもあります。
引き出したり、しまったり、集めたり。「記憶」とは一体なんなのでしょう。
人と一緒に「記憶」をを辿っていくと、どんな景色が見えるでしょうか。
物語は次第に問いへと展開していきました。
皆さんの答えはとても独特でした。
同じ記憶を持っているわけではないのに、同じ景色を見ていたような気持ちになりました。
話を伺うことそのものが記憶の旅です。
時間も場所も超えて、遥か彼方へ足を運んだような不思議な時間でした。
「人の答えから自分の記憶が蘇る」
「いとおしい」
「世代を超えて重なり合うものだなと思いました」
「“記憶の箱”というものがあるなら、それを何色にするかは、今の自分次第」
「豊かな時間。言葉よりも感覚で入ってきました。」
さまざまなご感想がありました。
大磯さんは、記憶が納められる場所を<夢の箱>と例えていました。自分の感覚を頼りに、印象的な景色やできごとが、そこに納められていくのです。
一人一人の箱が並んだ絵を思い浮かべてみますと、なんと個性的で彩り豊かなのでしょう。
生まれて以来、誰もが続けているわけですから、夢の箱はもはや自分そのものかもしれません。
7月を終えると、いよいよお盆が近づいてきます。
今日やるべきことや、世の中のニュース、そんなことから少し離れて、誰にも邪魔されない静かな場所で、記憶の旅に出てみるのも良さそうです。
次回の言育サロンは8月です。
今年はようやくレジャー解禁の夏を迎え、遠くに出かけられる方も多いのでしょうか。土産話を楽しみにしています。
酷暑の折、倒れることのないよう、くれぐれもご自愛ください。
言育サロンは毎月一つのテーマをに沿って、言葉や心の動きについて深く探求する場でです。
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