MONOLOGUE

流れゆく風を感じて

早いもので5月を迎えましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

新緑が眩しい今日この頃、つつじやジャスミンの香りが窓の外から流れこんでくると、つい動きを止めてクンクンしてしまいます 笑

いい季節になりましたね。

先日仕事で、大分県中津市の耶馬溪町(やばけいまち)に足を運んできました。

実は今回のプロジェクトで初めて耶馬溪町を知ったのですが、いうなれば山と谷の間にある集落とでもいうのでしょうか。それも関東付近で見慣れている山とは少し様子が異なっていて、地域一帯が「岩」なんです。

孫悟空の世界、といったらイメージが湧くかな。山のあちこちにむき出しの岩が迫り、川底も大きな一枚の岩が隆起して、天然の滑り台になっているような・・・

そんな耶馬溪町のとある農業法人さんのブランディングに関わらせていただくことになり、打ち合わせ 兼 耶馬溪の風を感じにいく、という目的で出かけてきました。

・・・なんていうと、半分遊びみたいなんですけど 笑
これはとっても大事なことで、オンラインではお顔を合わせていろいろ打ち合わせを重ねていたのですが、

◎今、どんなことを考えておられるのか?
◎これまで大事にしてきたこと、これから大事にしたいことはなんなのか?

なんていう方向に話が及んだときに、毎回クライアントさんから出てくる気になる言葉があったんです。

「耶馬溪のめぐみ」
「耶馬溪の風」

一般的な言葉ですし、うっかりするとさらっと聞き流してしまいそうな言葉ですが、今回はそうあってはいけないほど核なるものであることが伝わってきました。

もちろん遠隔でもそれなりに情報を集めることはできますし、それなりに想像力も働かせることもできます。

でもきっとそれではいけないような・・・

やっぱりクライアントさんにお会いして、どんな「めぐみ」や「風」を感じておられるのか体感してこよう!と出かける運びとなりました。

耶馬溪町の風景は、想像以上に険しさと雄大さの両方を兼ね備えたものでした。

切り立った岩山に挟まれた集落、畑はその奥へと分入ったところにあり、標高も高く、そこで育つ農作物は岩からのミネラル分を豊富に吸い上げているのだといいます。

それゆえに見られる生き物や植生があるのだそうで、ここで営まれるもの・ことすべてが「めぐみ」なのだと、畑を巡りながらクライアントさんにお話しいただきました。

毎年雨の被害も多く、地滑りや川の氾濫と向き合わねばならぬ地域、そこでこうして作物を育て世に手渡しつづけるという姿は、訪れずして想像できなかったと思います。

そうか、「耶馬溪のめぐみ」って、採れた作物、口に入るものだけを指しているんじゃないんだな。

この地、この土、それを育んできた歴史があって、それらをぜんぶひっくるめたものなのだ、と。

たった一泊二日ですから、まだほんの入り口でしかありませんし、動いていくのはまさにこれから!ですが、こうして風景を共有させていただけたことは本当に貴重でありがたいことでした。

その場に足んでこそ、感じられるものがある。
それは、何かを生み出す時に欠かすことはできない。

どんなに時代が変わり、便利になったとしてもきっと変わらないだろうな、と改めて。

よき旅になりました。

このプロジェクトはこれからの農村、地域のあり方をも考えさせられる、熱量ある展開になっていきそうです。

私にとっては初めましての大分県の案件ですが、今回のお仕事を通じて自分の故郷や地域というものとの付き合い方までも考えさせられるものになっていきそうです。

またタイミングが来ましたら、具体的にご紹介してまいりますね!

連休の間のコラムになりましたが、最後までお読みくださりありがとうございました。

気持ちいいこの季節を、どうぞ引き続き満喫くださいね。