ブランディング
2019年9月21日
ブランディングに、「奇策」はない!?
私たち広告会社の仕事って、
「プロジェクトをリリースする」
「CMやグラフィック広告を世に出す」
という表向き華やかな仕事に見えますが、実はその舞台裏は細かなチューニング作業を繰り返しています。
そう、広告は、ローンチしてからが勝負!と言っても過言ではありません。
新しい商品を市場に投入したり、コミュニケーションを刷新したりするとき。
もちろん緻密に計画を立て、「よし、これでいくぞ!!」という覚悟のもとで最善を尽くすのですが、世に出してみると予想もしなかったさまざまな反応があります。
ブランドに触れてくださったお客様のうれしい反応が返ってくることはもちろん、
「こっちの方が反応がいい」
「ここの顧客動線は見直しが必要」
なんていう、懸案事項が浮き彫りになることもしばしば。
その懸案事項を、見逃さない。
今から打てる手を考えて、粘り強くチューニングする。ぱっと見は地味なこの作業を、いかに粘れるか。スピード感を持って取り組めるか。が、ブランド育成において大切です。
世に出してはチューニング、を繰り返す!
私が、ローンチ後のチューニングにこだわる理由は、ある成功体験にあります。
それは、9年前にあるビールメーカーさんのフラッグシップブランドを担当させていただいたときのこと。
ビール好きなら誰でも知っている商品ながらも、当時売り上げは鳴かず飛ばず。
新しいお客様をなかなか取り込めずに苦戦していました。
「これはリブランディングが必要だ!」
ということで、行われたコンペ。無事受注し、プロジェクトは動き出したものの、すぐに売り上げという結果が出るわけではなくて、市場を動かすって一筋縄ではいかないんだな、と痛感しました。
それでも、このお得意先様の「味も、ブランドの歴史も、たたずまいも、他にはない価値がある。この商品で勝ちにいくぞ!」 というご意思に突き動かされるように、
私たちはブランドの核となる魅力を追求し、コミュニケーションし続けました。
そして、3年ほどたった頃、少しずつ風向きは変わり始めました。
売上は前年をうわまわるようになり、市場での評価が上がり始めたのです。
ファンを公言してくださる方が増え、流通への導入もぐんと進みました。買い物先でふと横を見るとお客様のカゴにはいっていたり、ゴミ置き場に空き缶が増えたり。
「売れてるな」という実感値が伴うほどの変化でした。
きっと、数ある施策のどれか一つが劇的に効いた、あの広告で風向きが一気に変わった、というわけではないんです。
その背景にあるのは、ブランドの底力を信じ、一貫したメッセージを、
世に出してはチューニングして、
世に出してはチューニングして、
これをお得意先の皆様(ブランドマネージャーはもちろんのこと、営業や開発、管理部門などすべての社員様)と私たちパートナーが一丸となり、繰り返してきた結果なのだと思います。
リブランディングから9年経った今、ビール離れが進む市況においても、そのブランドは売上前年超えを繰り返しています。それは、今も現状に甘んじず、チューニングを繰り返し続けているから、なのです。
ブランディングに、「奇策」はない!
ブランディングに、「奇策」はないと思うんです。あるのかもしれないけど、「奇策」だけでは結果はでない。
ロングセラー商品や、成功しているブランドに共通しているのは、施策を投入して、コツコツとチューニングし続ける継続性。
その背景にあるのは、ブランドの底力を信じる気持ち、いわば「ブランド愛」なのだと私は思うのです。
一朝一夕には育たない「ブランド」。だからこそ私は、これだ!というコミュニケーション開発し、それが浸透することを信じて、お客様と一緒に粘れるプロデューサーでありたい。
ブランドの本質を理解されて、必要な方が手に取ってくださる未来を、お客様と一緒に喜びたい、と思うからこそね^^