ブランディング
2019年9月21日
あれもこれもは、何も伝わらない!
「伝える」ために、忘れてはいけないこと
「身の周りをシンプルにする」
「軽やかに選択し、手放すものは手放す」
これは、私が日々の暮らしの中でとても大事にしていることなのですが、最近になってふと思ったんです。これって、暮らしにおいて、だけじゃないな、と。
そう。私は広告制作の現場で、「要素を絞って」「削ぎ落として」ということを、本当によく口にしている。
企画書を仕上げる時、グラフィックをチェックするとき、その視点は欠かすことができないものとなっています。
そしてそれは、「伝える」を生業にするものとして、忘れてはいけないことだと思うのです。
受け手側のキャパシティは思ったほど広くない!
お得意先様のブランドの価値を必要としている方に「伝える」ために、私たち広告会社は、日々たくさんの表現を開発していきます。
・TV、ラジオ、雑誌、新聞のマス広告
・インターネット広告
・電車や駅、街にある屋外広告
・ブランドを体感できるイベント
・店頭POP、キャンペーン
・商談用のパンフレット、名刺
お得意先様の状況や予算に合わせて、ありとあらゆる手段を組み合わせていくのですが、どの媒体にも共通しているのは、時間・スペースに限りがある、ということ。
実は、私は、この「枠が限られている」っていう状態が、実はすごく好きなんです。
限られているからこそ、そこで「何を伝えたいか」に頭を使うし、だからこそ濃い表現が生まれる。限られた条件のなかで、ブランドの根幹を示す。
それが私たちの仕事の醍醐味だと思うのです。
よくね、打ち合わせをしていると、お得意先様から、
「あっちも大事な要素だから」
「そうだ、これも伝えなきゃ」
「小さい扱いでいいから、ここも抑えて」
なんて、たくさんの要望が入ることがあるんです。
私は、その気持ちも本当によく分かるんです。
ブランドを愛するあまり、伝えたいことがいっぱい出てくる。あるいは、どこか自信がもてなくて、あれもこれも、入れたくなってしまう、なんてときもある。
でもね、これまでの経験の中で、「いろいろ詰め込んだもの」って、結局「一番伝えたいこと」が伝わらない。
伝えたいことに溢れた散漫な表現は、受けて側に当たり障りのないものとして認識され、受け手の心に本当にひっかからないんです。
情報過多って、本当に恐ろしい、、、
だから、そういうご要望をいただいた時は、その広告の目的を共有して、もう一度伝えたいことを棚卸するようにしています。
何を残そうか。あっちかな、こっちかな。
どこに、スポットライトをあてようか。
お得意先様と、スタッフと、ああでもない、こうでもないと議論する、その時間を惜しまない。
それが、「伝わる」をつくる舞台裏。
そしてね、ここを丁寧にやることで、関わる人のブランドへの愛情や想い入れが強くなり、得意先やチームの結束力も増してくるから不思議なものです。
受け手の記憶に残したいこと、にこだわる!
「伝えたいことの、焦点を絞る」
これって、何も大企業の広告に限ったことではなく、
個人でビジネスをやられている方、起業を見据えて発信をされている方、あと、もしかしたら、商談やプレゼンの場なんかにおいても、同じことがいえると思うんです。
あれもこれもを、一度に盛り込まない。
この記事、この投稿、このプレゼンで、何を一番に残したいのかを考える。
はじめにそのゴールを決めることで、伝えたいことは研ぎ澄まされていくので、受け手の反応も、きっと変わってくるんじゃないかな。